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法定養育費制度は2026年(令和8年)4月1日から施行された制度です。
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養育費の取り決め(協議・調停による合意や審判・判決による決定)がない場合でも、離婚の日から、子1人あたり月額2万円の支払を受けることが可能です。
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調停や審判、訴訟をしなくても支払を受けることが可能です。
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強制執行(給料や預金などの差押え)で一般の債権より優先的に扱われます(法定養育費への先取特権の付与)。
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暫定的、補充的なものなので、金額も固定されているので、適正な養育費の支払を受けるためには、協議・調停による合意や審判・判決による決定が必要です。
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相手(養育費の支払義務者)に収入や資産がないと支払は受けられません(強制執行による回収ができません)。
法定養育費制度は、養育費の未払いが多い中で、未払を防止し迅速な支払を確保することによりお子さんとお子さんを育てる親の生活の安定を図るための制度です。今回のコンテンツでは、法定養育費制度の基本的な仕組みなどを解説します。
法定養育費制度の目的
養育費の未払いや迅速な支払の確保
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Point 01
養育費の未払い
養育費はお子さんの未来を守るために重要なものです。ところが、国(厚労省子ども家庭庁)の令和3年の調査によると、養育費の取り決めをしていない母子世帯は50%超、取り決めどおりに支払わていない母子世帯は80%ほどであり、養育費が適正に支払われる割合は非常に低いという実情があります。その原因としては、相手と関わり合いたくなく早く離婚したかったので養育費について取り決めをしなかったということや、取り決めたけれど相手(養育費の支払義務者)の支払意思や支払能力がなくなったということなどがあります。
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Point 02
未払いへの従前の対応策
養育費の支払を受けるためには、そもそも養育費の取り決めをしていなかった場合であれば、協議、調停、審判で取り決めをすることが必要で、時間や手間がかかります。また、相手が支払に応じない場合には、最終的に相手の給料や預金などの差押え(強制執行)によって回収するほかありませんが、相手に他の借金もあり、その債権者による差押えも競合してしまうと、養育費による差押えも同列に扱われ、差し押さえたお金を他の債権者と分け合わなければならず、回収できる額が少なくなってしまうこともありました。
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Point 03
法定債権化と強制執行での優先扱い
このような問題を解決するために設けられたのが法定養育費制度と養育費への先取特権の付与です。まず、養育費の取り決めがなくても、法律上当然に、子1人当たり月額2万円の法定養育費を請求できることになり(法定債権化)、この法定養育費に基づく相手の給料や預金などの差押え(強制執行)も可能になりました。また、この取り決めのない場合の法定養育費も、取り決めによる養育費(形成養育費)も、強制執行において相手の借金などの債権者より優先して扱われることになりました(先取特権の付与)。
従来の取り決めによる養育費(形成養育費)について
従来の養育費、すなわち、取り決め(協議・調停による合意や審判・判決による決定)による養育費(形成養育費)の支払を受けるには、協議や調停で合意するか、協議や調停による話し合いがまとまらなければ、審判手続(離婚後の養育費の請求の場合)や訴訟手続(離婚前の養育費の請求の場合)によって裁判所に決定してもらうことが必要です。しかし、これらによる取り決めには、時間も手間もかかります。取り決めができるまで数か月から数年もの間、養育費の支払を受けられない場合もあります。
また、相手の給料や預金などの差押え(強制執行)についても、協議離婚の場合の強制執行認諾文言付き公正証書、調停の場合の調停調書、審判の場合の審判書、判決の場合の判決書など(これらは法律上「債務名義」と呼ばれます。)、公的に取り決められたことを証する書面がなければ行うことができませんでした。たとえば、養育費の取り決めについて、口頭での合意、当事者双方が署名押印しただけの合意書(離婚協議書など)、強制執行認諾文言のない公正証書しかない場合には、強制執行を行うことはできず、調停などの手続を経て債務名義を取得することが必要でした。
また、養育費の債権も、相手の借金の債権などと同列に扱われ、他の債権者による差押えが競合した場合には、差押えにより相手から回収したお金を他の債権者と分け合わなければならず、回収できる額が少なくなってしまうこともありました。

法定養育費制度の内容
このような問題に対応するために法定養育費制度(民法第766条の3第1項)が設けられました。
法定養育費制度では、取り決めがなくても子1人当たり月額2万円の請求権が法律上当然に認められることになりました(法定債権化)。
ただし、相手(養育費の支払義務者)に支払能力がないなどの事情がある場合には請求が認められません(民法第766条の3第1項ただし書き)。
この法定養育費の請求は、離婚の日に遡ってすることができます。つまり、法定養育費の支払期間の始期は、離婚の日ということです。たとえば、DVから逃れるために養育費の取り決めをしないまま離婚したけれど、少し経って落ち着いたので養育費を請求しようという場合、離婚の日からの分の法定養育費を請求することが可能です。
また、法定養育費の支払期間の終期は、以下の3つのうちいずれか最も早い日までとです。
①父母が協議により養育費について定めた日
②養育費について審判が確定した日
③子が成年(満18歳)に達した日
なお、法定養育費は日割り計算されます(民法第766条の3第2項)。つまり、支払期間の始期である離婚の日や終期である協議成立・審判確定・子の成年到達のうち最も早い日が月の途中である場合には、日割り計算がされます。
この法定養育費制度は、制度が施行された2026年(令和8年)4月1日以降に離婚した場合にのみ適用されます。それより前に離婚した場合には、従来どおり、取り決め(協議・調停による合意や審判・判決による決定)が必要です。
強制執行について
前述のように、従来の養育費(形成養育費)に基づく強制執行は、公的に取り決められたことを証する書面である債務名義(強制執行認諾文言付き公正証書、調停調書、審判書、判決書など)がなければ行えませんでしたが、法定養育費は、取り決めも書面も必要なく、法律上当然に認められる請求権(法定債権)ですので、債務名義なしに強制執行を行うことができます。
なお、従来の養育費(形成養育費)についても、債務名義がなくても、当事者双方が署名押印しただけの合意書(離婚協議書など)や強制執行認諾文言のない公正証書があれば、強制執行を行うことができることとされました。ただし、書面は必要で、書面なしに口頭での合意だけで強制執行ができるのは法定養育費に限られます。
また、法定養育費だけでなく、従来の養育費(形成養育費)についてもですが、先取特権が付与されることになり、相手(養育費の支払義務者)の借金などの債権より優先されることになりました(民法第308条の2)。これにより、借金などの債権者による差押えが競合した場合でも、差し押さえた相手のお金は、借金などの債権に先んじて養育費の弁済に充てられることになりました(他の債権は養育費の弁済に充ててもまだ残る場合に弁済を受けられることになりました)。
ただし、従来の養育費(形成養育費)の先取特権には上限があり、子1人当たり月額8万円までとされています(なお、法定養育費については子1人当たり月額2万円ですので、この上限未満となります。)。
この養育費の先取特権は、制度が施行された2026年(令和8年)4月1日より前に養育費について取り決めた場合であっても、同日以降に発生した養育費については適用されます(なお、法定養育費は、同日以降にしか発生しませんので、全てについて先取特権が適用されます。)。
以上のとおり養育費には先取特権が付与され権利が強化されましたが、相手(養育費の支払義務者)に差し押さえるべき収入や財産がない場合には強制執行によっても養育費の支払を受けられないことは従前どおりです。
養育費の取り決めの重要性
ここまで法定養育費制度について解説してきましたが、法定養育費制度では、養育費の額が子1人当たり月額2万円とされ、支払期間の終期も遅くとも子が成年(満18歳)に達した日までとされています。
1人当たり月額2万円という金額は、要句碑を請求する方の収入や相手(養育費の支払義務者)の収入などに照らして低い金額である場合もあります。また、お子さんが成年に達してしまうと大学などに進学する場合でも法定養育費の支払は受けられなくなります。
したがって、法定養育費は、養育費を取り決めるまでの暫定的、補充的なものと捉えて、協議・調停による合意や審判・判決による決定によって形成養育費について適正な取り決めをすることが重要です。
以上のように、法定養育費制度はお子さんを育てて行く上で有益な制度です。
ですが、お子さんの未来を守るためには、法定養育費だけでは不十分な場合があり、養育費について取り決めをすることが重要となります。
京都市の小口淳也法律事務所では、離婚前の養育費のご相談はもちろん、離婚した後の養育費のご相談にも応じています。
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