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養育費の学費加算(私学加算)の概論

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    養育費は、離婚によってお子さんと離れて暮らすことになった親(非監護親)が、お子さんと暮らして育てる親(監護親)に支払う子育てのための費用です。

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    養育費には、お子さんの衣食住のための費用や、医療費、教育費など生活全般の費用が含まれます。

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    養育費の額は、家庭裁判所の手続で定める場合には、裁判所が作成した養育費算定表の金額が標準額とされます。

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    養育費算定表の金額には教育費の分も含まれていますが、含まれているのは公立高校における教育費(「考慮済みの教育費」と呼ばれることがあります。)までです。

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    私立幼稚園や私立小中学校、私立高校(以下まとめて「私立学校」といいます。)、大学(私立に限らず国公立も含みます。以下同様です。)における教育費で公立学校における教育費を超える部分は養育費算定表の金額に含まれていません。

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    お子さんが私立学校や大学に通っている場合には、公立学校における教育費を超える部分を養育費算定表の金額に加算すること(学費加算)がありますが、基本的には養育費を支払う親が私立学校や大学への進学に同意していた場合に限られます。

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    ただし、同意していたとは認められない場合でも、親の学歴、社会的地位、収入、資産、教育方針、子の学歴、学力などによっては、加算が認められることがあります。

養育費はお子さんの将来を支える上で非常に重要なものであり、お子さんが私立学校や大学に通っている場合には特に学費加算(私学加算)が重要になります。

このページでは学費加算について誤解されがちな点や奨学金との関係について解説します。

2. 養育費の算定方法

加算の対象は考慮済みの教育費を超える額

考慮済みの教育費とは?

  • Point 01

    考慮済みの教育費とは

    養育費算定表による金額には、公立学校における標準的な教育費として、14歳以下のお子さんについては13万1279円(年額)、15歳以上のお子さんについては25万9342円(年額)が含まれています。

  • Point 02

    世帯年収に応じた修正

    これらの金額は、14歳以下については世帯年収を732万9628円、15歳以上については世帯年収を761万7556円として算定されたものであり、学費加算(私学加算)を行う際には、世帯年収に応じた修正が必要です。

  • Point 03

    具体例

    たとえば、世帯年収が1.5倍の1142万6334円であれば、15歳以上のお子さんについて考慮済みの教育費も1.5倍の51万8684円として加算額を計算します。この場合、学費が151万8684円であれば、考慮済みの51万8684円を超える100万円が加算の対象となります。

按分の方法(基礎収入による按分)

以上のように、養育費の学費加算(私学加算)では、実際の学費のうち考慮済みの教育費を超える部分を加算の対象とします。

そして、この部分を父母が按分して負担するのですが、按分の割合は父母双方の収入によって決めるのではなく、基礎収入によって決めるのが通常です。

基礎収入というのは、収入から生活維持に必要な税金や職業費、特別経費などを控除した自由に使える金額のことです。この基礎収入の額は、収入額に基礎収入割合を乗じて(掛け算して)算出します。基礎収入割合は、次のように、収入の額に応じて定められています(給与所得者と自営業者とで区別されています。)。


  <給与所得者>            <自営業者>

  年収     割合           年収    割合

0~75万円以下  54%         0~66万円以下  61%

~100万円以下  50%         ~82万円以下    60%

~125万円以下  46%         ~98万円以下    59%

~175万以下   44%         ~256万円以下     58%

~275万円以下  43%         ~349万円以下     57%

~525万円以下    42%         ~392万円以下     56%

~725万円以下    41%         ~496万円以下     55%

~1325万円以下     40%         ~563万円以下     54%

~1475万円以下     39%         ~784万円以下     53%

~2000万円以下    38%         ~942万円以下     52%

                   ~1046万円以下   51%                   

                   ~1179万円以下    50%

                   ~1482万円以下   49%

                   ~1567万円以下   48%

*給与所得者で2000万円超の年収の場合や自営業者で1567万円超の年収の場合の基礎収入割合は決められていません。その場合に基礎収入をいくらとするかについては、いくつかの考え方(2000万円の基礎収入割合を適用するか、割合を変えるか)があります。


具体例でみてみましょう。

たとえば、上記の例のように加算の対象となる学費が100万円、父母とも給与所得者で、養育費を支払う父の年収が700万円、養育費を受け取る母の年収が442万6334円であるとすると、以下の計算により学費加算(私学加算)額は月額約5万円となります。

<計算式>

父の基礎収入=700万円×41%=287万円

母の基礎収入=442万6334円×42%=185万9060円

加算額(年)=100万円×287万円/(287万円+185万9060円)÷12か月=60万6886円

加算額(月)=60万6886円÷12か月=5万0574円

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4. 私学加算について

国公立大学の学費も加算の対象

学費加算(私学加算)についてよく誤解されがちなのは、学費加算(私学加算)は私立学校に通っている場合の話で、国公立の大学に通っている場合には加算されないのではないかということです。学費加算については「私学」加算という呼び方がされることが多いので、このような誤解が生じるのかもしれません。

ですが、上記のように、学費加算は、養育費算定表による金額に含まれている公立高校までの教育費(考慮済みの教育費)を超える部分を対象とするものであり、大学の学費は私立であっても国公立であっても公立高校までの教育費を超えるので、国公立大学の学費も学費加算(私学加算)の対象になります。

奨学金との関係

学費の免除を受ける場合には、学費加算(私学加算)は行われません。学費加算(私学加算)は、養育費算定表による金額で考慮済みの教育費を超える部分の負担を分担しようというものであり、学費の免除を受けられる場合には分担すべき負担が発生していないからです。


これと同様に、返済不要の給付型の奨学金を受ける場合にも、学費加算(私学加算)は行われません。


これに対し、返済が必要な貸与型の奨学金を受ける場合には、将来返済しなければならないという負担が発生しているので、学費加算(私学加算)が可能です。


また、これと同様に、養育費の支払を受ける親が教育ローンを組んで学費を支払う場合も、学費加算(私学加算)が可能です。


他方、教育費を支払う側の親が教育ローンを組んで学費を支払う場合には、学費加算(私学加算)は行われません。ローンの返済が学費加算(私学加算)の代わりになるからです。


5. 家庭裁判所での手続き

学費加算(私学加算)が認められる条件

以上のような学費加算(私学加算)は、基本的には、養育費を支払う側が進学に同意していたことが必要とされます。

この同意は、必ずしも明示的なものである必要はなく、黙示的なものでも足りる場合があります。支払う側がお子さんに対し、「受験勉強がんばれ」と言うなどして激励していたような場合には、同意があったものとして学費加算(私学加算)が認められる可能性があります。

ただ、大学への進学や私学への進学について同意がある場合でも、実際の進学先への進学について同意していたとは認められない場合もあります。たとえば、国公立大学や一般的な学費の私立大学に進学することには同意していたものの、学費が高額な私立大学の医学部に進学したような場合です。このような場合には、国公立大学への進学には同意していた場合であれば国公立大学の学費についてのみ学費加算するとか、一般的な学費の私立大学への進学には同意していた場合であれば私立大学の学費の平均額についての学費加算するといったことが考えられます。

また、奨学金を借りることを前提に同意していたという場合も問題になります。その場合は、奨学金を借りられるとは限らないので、借りられない場合も想定して同意していたものとみるべきで、学費加算(私学加算)が認められるべきでしょうが、その額が支払う側の収入に比して過大である場合には、減額されることもあり得ます。


このように学費加算(私学加算)では養育費を支払う側の同意が問題になり、同意があれば学費加算(私学加算)が認められます。

もっとも、同意していたとは認められない場合でも、親の学歴、社会的地位、収入、資産、教育方針、子の学歴、学力などによっては、加算が認められることがあります。

たとえば、養育費を支払う側の親が私立大学の文系を卒業し、社会的に相当の地位にあり、収入も少なくない場合には、子にも同程度の教育を受けさせるべきであると考えられ、子の私立大学文系の学費について学費加算(私学加算)が認められるようなことがあります。

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